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360°評価によるモチベーションアップ [勉強会議事録]

360°評価によるモチベーションアップあとで読む

2010年9月11日
モデレータ:佐藤実氏


360°評価導入の経緯
  • 360°評価の実施は、昇格の公平・公正な査定に使う目的だった。2008年4月にそれを開始した。(2009年はリーマンショックの影響を受け、昇格昇給は無かった ので、360°評価も実施しなかった)
  • 2010年4月に昇格決定の参考にと再度360°評価を取り入れた。
  • この時、年に1度の評価で全てが決定している現在の制度に風穴をあけるべく、毎月の評価の積み重ねが本来の有るべき姿と考え、4月以降毎月360°評価を実施している。
  • 更に、この毎月の評価結果を分析し、なぜこのような評価結果になっているのか、分析をすれば、社員のモチベーション向上に役立つ事に使えるのではと考えた。
  • 経営学には行動科学という専門分野があり、その中にマグレガーが提唱した人間観(人は、X型とY型に分けられる)がある。モチベーション向上は正にY型人間の育成に他ならない。そこで、360°評価で人間観を見る事が出来ないか試行した。
  • その分析結果、モチベーション向上に役立つ事例がでてきたので紹介する。

360°評価の点数と,従業員の勤務態度を観察して得られたX型度,Y型度を下の図にプロットしてみると,強い相関があることが分かった.

360度評価(1).gif



分析に使った表の見方
  • 縦軸に360°評価結果の数値を入れます。横軸にX型Y型の人間観を入れます。 Y型を5つに分けて、Y1/Y2を「典型的Y型人間」と呼びます。Y3/Y4を「傾向性Y型人間」と呼びます。Y5を「XY型人間」と呼びます。更にX型を同様に5つに分けX1/ X2を「典型的X型人間」よ呼び、X3/X4を「傾向性X型人間」と呼び、X5を「XY型人間」呼びます。
  • 目指す人材像は「Y1/Y2」です。その得点は非常に高く、4.0以上でなければなりません。
  • 人材のレベルを他社比較する事が可能です。評価点が3.0以上であれば、他社のレベルと同等かそれ以上のレベルと考えております。また、レベルの低い社員の再教育が必要な「レッドライン」レベルは2.4以下の評価点です。この人達にはレベル向上の為の教育が必要になります。
  • 「偏見領域境界線」を設けてあります。これは、X型やY型と判定している者の偏見要素があるかどうかを見てます。主観的判定ですから、偏見が入る可能性があります。その程度を把握する為の線です。



モチベーション向上事例
360度評価(2).gif
A社員の4月から8月までの360°評価点の推移

  • 彼は6月中旬に、私(工場長)や会社を名指しで、批判する文章を作成し、メールで知り得る関係者全員へ送付しました。
  • 内容は、『自分は数年一生懸命働いてきた。しかし4月の段階でまたも、昇格は無かった。昇格したのは、仕事中にインターネットで遊んでいる者が対象である。会社はどういう評価をしているのか疑問でならない。現在行われている360°評価は嘘で塗り尽された偽りの結果でしかない。 公平・公正を欠いた屈辱のフィードバックでしかない。このままでは、フォックスコーン事件(相次ぐ自殺)がこの工場でも起きる可能性がある。 私は解雇処分を覚悟ででこれを書いている、書かずにはいられない。私は、真面目に働く意欲を既に失っている。同志よ理解して欲しい。』
  • 内容は、私の工場運営を批判するものであり、現在取り組んでいる社員評価(360°評価)を批判するものである。
  • 文面には回りくどく色々と書かれているが、主旨は360°評価の結果に納得がいかない。自分に対する評価がいかにも低く過ぎる、という点に自論を展開している。
  • 評価に対する批判的行為に出たのみと判断した。よって、自殺行為や他の仲間を作り、何かの悪さをする事態に発生する可能性は極めて低いと考え、本人に対する処置はしなかった。つまり、この書面を無視した。
  • その後、6月の360°評価で更に評価は落ち込み、7月には極端に評価を落とす結果を招いた。
  • しかし、8月度の評価は一転して急角度で上昇したのである。
  • その急上昇の原因を裏付けるメールが彼から流れたのです。
  • 流れたメールの内容は、『私は工場長はじめ同僚にお詫びしたい。』 これが書き出しである。
  • 『私はここ数カ月、自分の責任や任務を正しく認識する事無く、上司の指示にも従う事無く、更には会社のルールを遵守する事もなかった。 新入社員にも劣る行動を取り、恥ずかしい限りです。この工場は絆で結ばれている事を知りました。その絆は確かなもので、私もその絆の一員として役割がある事を強く認識しました。工場長は随分と老けました。それは、会社の為に一生懸命に働いているからです。私はそういう周りを見ておりませんでした。工場長や同僚に謝りたい。誠に申し訳ありませんでした。これからは、本当の自分を発揮するように頑張ります。赦して下さい。』
  • 8月の彼は凄い変化を見せ、自身が批判の対象にした360°評価で彼は復活を遂げました。17位から5位に躍進したのです。その後も彼は課せられた責任を果たす為に、元気に業務に取り組んでおります。



討議内容
  • X型人間をY型人間に育成するという目的に使えるか?
    • X型人間、Y型人間であるという発見は可能です。
    • しかし、何もせずにY型人間になる育成に繋がる仕組みなるかどうかは不明である。
      • 360°評価で自分の弱点を知る事が出来ます。
      • 自ら弱点を克服する勇気のある者は、Y型に変容する可能性はあると思います。
      • 今回、そういう事例が出ました。自ら評価を上げた者が出ました。つまりY型に変化しました。
        • 「モチベーション向上事例」を見てください。
    • 日本的経営の特徴は教育により人を育てる。
  • 成績が落ちた者が、どうやってY型人間に変化したのか?
    • 工場閉鎖の準備をしている時に「絆」に気づいた。
      • 8月末に工場は閉鎖しました。閉鎖に伴い「感謝の集い」(宴会)を開催する事になり、催し準備をしました。
      • そのプログラムの一つに「絆」という詩を日本語で朗読するものがあります。その内容を知ってから、自分も仲間との絆で結ばれて事に気付いた事が大きな要因かと思います。
    • 360°評価結果に不満を持っていた。
      • 彼はその不満を会社にぶつけたが成果にはならなかった。
      • 不満を解消するには、自分が変わらなければならない事を現実の状況から理解できた。
  • 中国人の評価と日本人の評価に差はあるか?
    • 国籍による評価の差は感じません、無いと思います。
    • 日本人の中でも違う評価をするのと同じで、中国人の中でも違う評価をしている事はあります。
    • 評価項目別で見ると私の評価と現地の方の評価が分かれるものがあります。
      • リーダーシップや部下育成について、私は低い評価をしてますが、現地メンバーは少し高い評価になっております。
  • 昇格に使っているようだが、業績成果は360°評価で見る事ができるか?
    • 業績に関する評価は出来ません。
      • 昇格に業績成果は入れておりません。全体の業績を個人別に分解する方法が分かりません。
  • 評価する者は全員か?
    • 社員が30名です。新入社員を除く全員が評価に参加致します。
    • 評価者は毎回1/3程度入れ替え、評価の偏りを防ぐようにしてます。
    • 評価者は必ず上司、部下、同僚、関係組織という4つの分類で選びます。
    • 一人の評価者は10人評価する者もおり、一人しか評価しない者もおります。
      • 評価者の評価レベルを見ているので、評価がいい加減な評価者は評価人数を減らしております。
  • 評価者のレベルはどうか?
    • 評価者レベルはまだバラツキがあります。
    • 評価する時の定義を標準化して教育しておりますが、それでも定義通りの評価になってません。
      • 評価定義は前回議事録にアップされております。
    • 評価者のレベルをある程度のバラツキに抑えるには、もう少し時間をかけて、慣れる必要があるかと思っております。
  • 360°評価は何人までなら出来るか?
    • 今回の事例は社員数が少ないから出来ているのでは、という疑問があるかと思います。
    • 評価者を何人にするか、評価方法をどう改善するかという課題を抱えておりますが、この評価は何人でも出来ると考えております。
    • 360°評価を制度として取り入れるかどうかは、その熱意だと思います。人数の問題で頓挫するものではないと考えます。
  • 360°評価を毎月実施するのは大変か?
    • 準備作業に時間をかけられれば、実施は大変ではありません。
      • 評価者を決めるのに時間を要している。
        • 前回評価者と違う人に評価して貰うが、それも上司を変えるか、部下を変えるかなどの検討が必要です。
        • ワーカーの評価者が多い場合は評価が上がってしまい、少ないと評価が下がってしまう傾向を持っておりますので、そのワーカー比率を決めるのに時間を要します。
        • 普段仲がいい者を多く入れてしまうと評価が高くなり、仲が悪い者を多く入れると逆に低くなります。そういった人間関係も考慮した評価者決定をやっております。
    • この評価は毎月やる事に多くの意義があります。まさに公正・公正が保たれます。
  • 各階層ごとに実施するのはどうか?
    • 上司を一律評価したとしても、部下の評価、同僚の評価、関係組織の評価が必要です。ですから結局、現在の360°評価と同じ事になるかと思います。
  • 全員がY型人間になる事はあるか?
    • あり得ないと考えます。
      • X型とY型は50%程度でバランスされるという法則があると考えます。
      • 組織全体の底上げはあるかと思いますが、XYの関係は高いレベルで50%にバランスされると考えます。
        • 優秀な組織があったとしても、その集団の中にはX型が存在している。
        • 成果の上がらないダメな組織があったとしても、その集団の中には必ずY型が存在しているという考えです。
  • 上司の偏見的評価は存在するか?
    • 今回の施行で私(工場長)に偏見的評価が有った事が発見できた。
      • 私はある男性をX型だと見ている。よって、与える仕事もどうやるかのやり方を決めた作業指示が主だった。
      • 彼の360°評価は非常に高く、Yの領域の成績だった。
        • 私は彼に対して偏見的評価をしている事を知った。
    • 主観的評価は一方的見方になっていると言える。
  • 偏見を無くすと、被評価者の仕事態度は変わるか?
    • 今回の施行で私(工場長)は仕事の与え方を変えました。
    • 変わるべきは、被評価者ではなく、評価している側です。
    • 私は、仕事の与え方を変えました。目標を与えるようにして、仕事のやり方を説明するのを止めました。
      • それにより、彼の成長があったとは考えておりません。
      • 彼は元々Y型人間だったので、仕事はやり易くなったのだと思いますが、結果は従来も今も良い結果を出しているといえます。


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